お詫び
本書において、「環境変数の設定」等、動作環境構築についての説明がいたく不十分にて、多くの方から御指摘と御質問をいただきました。
遅ればせながら本ページに詳しい解説をさしあげましたので、御参考になれば幸いです。
「2つ付く」ということは「1行に数式が2つ」 ということですというところは、
「l, c, rのいずれかの文字が2つ付く」 ということは「1行に数式が2つ」ということですと説明すべきでした。
| サンプル | 表記 | 意味 |
|---|---|---|
| リスト5-1-9 | {ll} | 1番目と2番目の数式がともに左揃え |
| リスト5-1-10 | {cl} | 1番目の数式が中央揃えで、2番目の数式が左揃え |
環境変数を設定するウィンドウの出し方には二通りあります。
ひとつは「コントロールパネル」から「パフォーマンスとメンテナンス」さらに「システム」と開いていく方法です。

スタートメニューから「コントロールパネル」を選ぶ

「コントロールパネル」で「パフォーマンスとメンテナンス」

さらに「システム」
もうひとつの方法は、「マイコンピュータ」を右クリックして「プロパティ」を選ぶ方法です。一足飛びですね。

「マイコンピュータ」の「プロパティ」
どちらの方法でも、「システムのプロパティ」というウィンドウが出ます。ここで「詳細」タブをクリックして、さらに下のほうにある「環境変数」ボタンをクリックします。

「詳細」>「環境変数」をクリック
すると「...のユーザー環境変数」および「システム環境変数」という設定欄のあるウィンドウが出てきます。
わたしたちが設定する場合、「ユーザー環境変数」をいじったほうが、どちらかというと無難です。
ですから「ユーザー環境変数」の欄を見てください。「PATH」という名前の変数が設定されているでしょうか?
たまに、インストールしたアプリケーションによって自動で設定がなされている場合もあります。
上の図では、筆者が以前に自分で設定したので、すでにあります。この図には「MiKTex...」などと書いてありますが、中身は気にしないでください。ただ、このようにすでにある場合は、その「PATH」をクリックして選んでから「編集」ボタンをクリックします。
なければ(ない場合のほうが多いでしょう)「新規」ボタンをクリックします。

「PATH」がまだなければ「新規」を、すでにあれば「編集」をクリック
ボタンは上のほうと下のほうに二つあるので気をつけてください。「...のユーザー環境変数」と書かれている、上の方です。

変数名は「PATH」、必要な変数値を「;」で区切って入れる
新規作成画面の場合は、上の欄「変数名」に「PATH」と入れます。
それから、下の欄「変数値」に、たとえば以下のように必要な変数値を入れます。
C:\w32tex\bin;C:\gs\gs8.54\bin;C:\dviout
それぞれのアプリケーションに必要な実行ファイルが入っているフォルダを、指定します。
「C:\w32tex\bin」は、人によって「w32tex」フォルダのおき場所が違うかも知れません。他は、インストールをデフォルトどおりにやれば、上の通りになるはずです。
各変数値は「;(セミコロン)」で区切って入れます。
ですから、既に他に値が設定されている場合は、それらとも「;」で区切らなければなりません。その場合は「C:\dviout;(他の設定)」のように、最後にも「;」を入れます。
「OK」をクリックして、さらに「システムのプロパティ」ウィンドウでも忘れずに「OK」をクリックします。
設定したのは「ユーザの環境変数」ですから、一度ログオフしてからログインし直して、設定を反映させます。ログオフやログオンがよくわからない場合は、思い切って再起動してしまうテもあります。
ファイルのパスを入力するのは、なかなか面倒ですね。
いい方法があります。本書では22-23ページ図2.1.1のように「フォルダオプション」でファイルの表示法を設定していますが、上のほうにある「アドレスバーにファイルのパス名を表示する」という設定をオンにしてみましょう。

「アドレスバーにファイルのパス名を表示する」
こうしておいて、C:\w32tex\binなどのフォルダを、ファイルブラウザでグラフィカルに開きます。すると、「アドレス」欄に、そのフォルダの絶対パスが表示されますから、それをそっくりコピーペーストすれば楽ですね。

実際に開いてみて、パスをコピーする
いずれも「コントロールパネル」から始めよう
両設定ウィンドウの出し方は実はいろいろあるのですが、「コントロールパネル」から始めるのが最もわかりやすいと思います。起動メニューから「コントロールパネル」を立ち上げます。

コントロールパネル
フォルダオプションの設定
Windows Vistaでのフォルダオプションの設定には、「コントロールパネル」ウィンドウから、「デスクトップのカスタマイズ」を選びます。
「フォルダオプション」なんて書いてないじゃないか、と思うかも知れませんが、そこに青文字で書かれた項目リストは「抜粋」です。「緑色の文字」をクリックしてください。

「デスクトップのカスタマイズ」の緑文字をクリック
これで「デスクトップのカスタマイズ」関係の項目が全部表示されます。その中に「フォルダオプション」がありますね。それをクリックすれば、あとはXPと同様の設定画面が出ます。

「デスクトップのカスタマイズ」関係一覧から、「フォルダオプション」をクリック
環境変数の設定 Windows Vistaでの環境変数の設定は、「コントロールパネル」画面から「システムとメンテナンス」を選びます。あるいは、上の「デスクトップのカスタマイズ」のような画面でも、左側のリストから「システムとメンテナンス」を選ぶこともできます。

システムとメンテナンス
「システムとメンテナンス」画面で、「システム」を選びます。

「システム」を選ぶ
すると現れるのは、もしかすると起動時に必ず現れているかも知れないあのウィンドウです。「最初っから言えヨ」ってゴメンナサイ。でもそういうときに限って、せっかく現れていたウィンドウを閉じた後だったりしませんか?

実はおなじみかもしれないこのウィンドウだった
このウィンドウの下のほうに「コンピュータ名、ドメインおよびワークグループの設定」という表示箇所があります。そこに「設定と変更」というリンクがあるのでクリックします。

「コンピュータ名」....の表示されているところで「設定と変更」をクリック
ちょっと長い道のりでしたが(その前に、続行には許可が必要ですなどという警告も出たりしてさらに面倒ですが)、これでXPにあるような設定画面が現れます。
C:\MiKTeX2.5\miktex\bin;
の、セミコロンまでを消去します。そのあとに「%」などという記号がある場合、それを消さないようにしましょう。

「%」などの記号は大事なので、消さないように注意!
必要な部分だけを消去したら「OK」をクリックして、「システムのプロパティ」画面も忘れずに「OK」をクリックします。
Do you use the following: C:\gs\gs8.54\bin\gswin32c.exe?というウィンドウが出ますが、この太字の部分が、別の場所(適当なところに解凍した「gs854w32full」フォルダなど)の「gswin32.exe」を選んでしまうかも知れません。
「dviout」を起動して、プルダウンメニューを操作
最初にこの画面が出てくるので「Next」を押す
上の画面で「Next」をクリックすると、図2-4-10(35ページ)のウィンドウがもう一度出てきます。 さらに、もう一度「Next」で図2-4-11が出てきます。出てこない場合、「Back」「Next」を押して探してみてください。こうして、設定を直すことができます。なお、具体的な設定例をこの後に示しましたのでご参考になれば幸いです。
| 設定ウィンドウ | 具体的な設定値 |
|---|---|
本書図2-4-10 |
TEXROOTの値 c:\w32tex\share\texmf\fonts
TEXPKの値 |
本書図2-4-14 |
genの値 c:\w32tex\bin\mktexpk.exe --dpi ^d --bdpi ^D --mag ^M ^s
gsxの値 |
この説明は、以下のJan Polandさんによる文書を大いに参考にしています。
Japanese Fonts and (CJK-)LaTeX
ただし、ここに筆者が記す内容についてのあらゆるお問い合わせは、筆者宛て(noniko@netbeans.jp)にお願いします。
「TrueTypeフォント」にも、いろいろな使用制限があります。Windowsで用いるフォント「MSゴシック」「MS明朝」もTrueTypeフォントですが、これらには厳しい使用制限があり、手っ取り早く言えば一切いじってはいけません。
ここでは、「IPAフォント」を使ってみましょう。「IPA」とは、「独立行政法人 情報処理推進機構」のことで、ここで提供されているフォントです。無償で、なんらかの修正を施して使用することにも特に問題はありませんが、再配布にはいろいろの制限があります。
詳細はみなさんの必要に応じて調査していただくとして、ここでは「自分で入手及び加工して、学習目的で使う」場合に限定して利用法を紹介したいと思います。
IPAフォントの入手は、IPAの支援の下にフォントを公開している「オープンプリンティングプロジェクト」から可能です。
オープンプリンティングプロジェクトのトップページ:
http://lx1.avasys.jp/OpenPrintingProject/index.html
IPAフォントのダウンロードページ:http://lx1.avasys.jp/OpenPrintingProject/index.html#font
入手するのは、「openprinting-jp-0.1.3.tar.gz」というファイルです。Windowsで「tar.gz」形式のファイルを展開できる適切なソフトウェアを利用して展開してください。
「openprinting-jp-0.1.3」というフォルダができたら、その中の「ipafont」フォルダを開けます。そこにいくつかの「.ttf」ファイルがありますね。
IPAフォントのファイル
そのうち、「IPA明朝」にあたる「ipam.ttf」と「ipag.ttf」を利用してみましょう。二つのファイルを適当な作業用ディレクトリにコピーします。
上記の作業用ディレクトリで、「コマンドプロンプト」ウィンドウから以下のコマンドを打ちます。
ttf2tfm ipam.ttf ipam@UJIS@ (IPA明朝の場合)
ttf2tfm ipam.ttf ipag@UJIS@ (IPAゴシックの場合)
「ttf2tfm」は「MiKTeX」の中に用意されているツールです。「MiKTeX」をデフォルトの設定でインストールしてあれば、「ttf2tfm」といきなり打ってもわかってもらえます。
「ipam@UJIS@」は、「ipamナントカ.tfm」というファイル群を作成するための指定で、「UJIS」は本書で行っているとおり「MiKTeX」で使うLaTeX文書を「EUC」で作成している場合に指定します。「EUC」と言ったり「JIS」と言ったり「UJIS」と言ったり紛らわしいな、と思うかも知れませんが、そこはいろいろなツールをいろいろな人が作っているためしょうがないところがあります。まあ我慢しましょう。
このコマンドを打つと、なにやら多大な処理がなされます。
いきなり画面が流れ出してビックリする
最終的に落ち着いた
処理が終わると、「ipam(ipag)01.tfm」から「ipam(ipag)31.tfm」までのファイルがそれぞれできます。
「ipamナントカ.tfm」のファイルがたくさんできた
生成したファイルは、MiKTeXの中に配置する必要がありますが、もしファイル操作の過程でうっかり他の大事なファイルを損傷してしまったらイヤですね。
UNIX育ちのLaTeXでは、そこはちゃんと「ユーザデータの置き場所」を用意してくれています。MiKTeXでも、それを大変わかりやすい形で利用することができます。
ユーザデータの置き場所を知るには、「MiKTeX」の「Settings」を用います。起動メニューから「すべてのプログラム」>「MiKTeX2.5」>「Settings」を選びます。
これはVistaの場合
「MiKTeX Options」というウィンドウが出てきますので、「Roots」タブをクリックします。
[Path」「Description」などの項目がリスト表示されますね。その中の「Description」の欄が「Userdata」となっているところを見てください。
これはXPの場合
XPならば \Documents and Settings\ユーザ名\Local Settings\Application Data\MiKTeX\2.5
Vistaならば \Users\ユーザ名\AppData\Local\MiKTeX\2.5
「Application Data」フォルダ内に「MiKTeX」フォルダができていた
この「ユーザデータの置き場所」の使い方で大事なのは、「本体MiKTeXと同じフォルダ構造にする」ことです。
「本体MiKTeX」の中で「tfmファイル」は、「MiKTeX2.5\fonts\tfm」フォルダ内に、さらにフォントの種類ごとにフォルダにまとめられて置かれています。
そこで、われわれのtfmファイル群も、こんな風なフォルダ構造を作って、配置します。
ユーザーデータの置き場所\font\tfm\IPA
この「IPA」フォルダ中に、作成したtfmファイルを全部置きます。
一方、もとの「ttf」ファイル、ipam.ttfとipag.ttfも必要です。これは
ユーザーデータの置き場所\font\truetype\IPA
というフォルダを作って、その下に置きます。
以下のような内容の「C40ipam.fd」ファイルを作成します。
\DeclareFontFamily{C40}{ipam}{\hyphenchar \font\m@ne}
\DeclareFontShape{C40}{ipam}{m}{n}{<-> CJK * ipam}{}
\DeclareFontShape{C40}{ipam}{bx}{n}{<-> CJKb * ipam}{\CJKbold}
「ギャ。なにこれ」と思いましたか?筆者も最初そう思いました。でも大丈夫、お手本があります。本体MiKTeXの以下の階層に行ってみてください。
\MiKTeX2.5\tex\latex\CJK\JIS
そこに、いろいろな「.fd」という拡張子のファイルがありますね。それがフォント定義ファイルです。
「c40song.fd」というファイルがありますね。「C40」は「EUC-JP」の文字コードを使う場合に指定する記号と考えておいてください。
このファイルを開けると、他の表記に混じって「DeclareFontFamily」及び「DeclareFontShape」の記述があります。そこで、その3行をそっくりいただいて、「song」及び「jsso12」を「ipam」に直してしまえばよいのです。
同様に「C40ipag.fd」を作成します。 これらのファイルは、やはりユーザーデータのおき場所に、そっくりそのままの階層
\ユーザデータの置き場所\tex\latex\CJK\JIS
を作って配置します。
作業はまだあります。ttfonts.mapファイルの作成です。
まあ、これは本体MiKTeXの中にあるttfonts.mapに追記してもよいのですが、Vistaの場合ユーザフォルダ以外の場所のファイル操作がUNIXなみにうるさく、失礼、セキュリティ重視になってきましたから、やはりユーザデータの置き場所に作ってしまいましょう。
その本体MiKTeX内の以下の場所から、ttfonts.mapファイルを探し出します。
\MiKTeX2.5\ttf2tfm\base
これを、やはりユーザデータ置き場所で同じ階層を作って、その下にコピーします。
\ユーザデータの置き場所\ttf2tfm\base
コピーしたほうのttfonts.mapを編集します。もとの記述を消す必要はありません。追記します。
%IPA fonts ipam@UJIS@ ipam.ttf ipag@UJIS@ ipag.ttf
最後の仕上げです。ユーザデータにフォルダやファイルを追加したことをMiKTeXに知らせる必要があります。これには、さきほど立ち上げたMiKTeXの「Settings」で、「General」の画面にある「Refresh FNDB」をクリックします。
「ファイル名データベース」を更新
これで、「LaTeXが探し出すファイル名」を一斉にスキャンしてくれます。ですから、実はユーザデータのおき場所で作った「本物そっくり階層構造」がちょっとくらいいい加減でも、結構大丈夫なんです。
\documentclass{article}
\usepackage{CJK}
\begin{document}
\begin{CJK*}{JIS}{ipam}
フォントのところはどうなのよ(寒)
\end{CJK*}
\end{document}
本書の例と違って[dnp]オプションが必要なくなりました。自分で作った最も簡単なフォント設定だからと言ってよいでしょう。 これを、MiKTeXですから、「latex」コマンドで変換し、「yap」コマンドで見てみます。
IPA明朝になった
{ipam}を{ipag}に変えれば、ゴシックになります。
IPAゴシックになった